【競売と任意売却|自己破産における財産処分】

任意売却は関係者全員にとって少しマシな方法

自己破産を申し立てる人には、多額のローンが残っていて売るに売れない持ち家を抱えている人が多いです。

 

これはやがて競売にかけられますが、それより少しましな処分方法として任意売却というものもあります。

 

競売や任意売却について説明しましょう。

 

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抵当権と競売

ローン返済中の不動産には、抵当権というものが設定されており、登記簿に記載されています。

 

この抵当権は、住宅購入者が返済不能に陥った時に、不動産を競売(けいばい)にかけてお金を回収する権利です。

 

競売(けいばい)は裁判所が行うオークションで、法律用語です。

 

競売(きょうばい)と読むと、サザビーズやクリスティーズといった世界的業者が行うゴッホの名画のオークションのイメージもありますが、競売(けいばい)は物悲しいイメージです。

抵当権と不動産販売

不動産を売却しようとすると、抵当権を外す必要があり、それにはローンの残債全額を弁済する必要があります。

 

不動産の売却額が残債を上回っている場合は、問題ありません。

 

しかし、下回っている場合は売却額を全額弁済に回してもまだ足りないわけで、これはオーバーローンと呼ばれる状態です。

 

頭金をかなり用意した場合以外は、購入から10年目くらいまではオーバーローンのことが多いです。

 

住宅は人が住んだとたんに中古となり、価値が下がります。

 

一方で、最初のうちは毎月の住宅ローンに占める利息の割合が高く、なかなか元金が減らないからです。

 

購入後に土地の相場が下がった場合などはさらにひどいオーバーローンになっています。

 

さて、オーバーローンの場合は、不足額をどこかから調達して、不動産売却額と合計で弁済できる手はずを整えないと、抵当権解除に応じてもらえません。

 

しかし、自己破産を目前にした人にそんなお金を調達できるはずもありません。

 

銀行に「家を売らせてくれ。不足分はとりあえず貸してくれ。引っ越した後で頑張って返していくから。」などと言っても聞き入れてもらえません。

 

こうして家を売ろうにも売れないまま、ついに住宅ローンの滞納が始まるのが普通です。

 

代位弁済と期限の利益喪失

住宅ローンを滞納されても、実は銀行はまったく困りません。

 

滞納連続6カ月くらいをめどに返済の復活に見切りをつけ、保証会社の代位弁済を受けます。

 

そうすると、残債全額を支払ってもらえるので、銀行は痛くもかゆくもないのです。

 

家を買う時に「保証料」というものを支払いますが、これは万が一の時にこういう機能を果たすものなのです。

 

これで銀行はもう住宅の購入者とは縁が切れました。

 

これより後は債権回収会社が抵当権を実行し、家を競売にかけてお金を回収する段階です。

 

同時に、住宅購入者は「期限の利益」を失います。

 

これは分割払いをする権利です。

 

分割払いが認められないので、家を失わない方法は、ローン残債全額を一括払いするしかないですが、そんなことができるはずもありません。

 

よって、相手が家を競売にかけるのに任せるほかなくなります。

 

競売のプロセス

代位弁済の後、債権回収会社は裁判所に競売の申立てをし、裁判所は競売の開始決定をします。

 

しばらくすると執行官と評価人が現況調査のために家にやってきます。

 

その後、開札、落札、売却許可決定、代金納付、所有権移転登記と続きます。

 

競売開始決定から所有権移転まで、最低半年くらいはかかります。

 

代位弁済決定までの住宅ローン滞納6カ月と足すと、合計1年くらいはローンの支払いなしで住み続けることができるわけです。

 

これが競売のメリットと言えばメリットで、この間に次にどうするか、準備を進めるべきです。

 

所有権移転登記の退去

所有権移転登記が終わっているのに住み続けると不法占拠になるので、遅くともこの時までに退去する必要があります。

 

それでも居座ると、新しい所有者は退去を求めますが、堪忍袋の緒が切れれば強制執行の申立てをします。

 

すると裁判所の執行官により強制退去が執り行われ、かつその費用を請求されます。

 

強制執行の手続きは、以前は訴訟を起こして判決をもらうことが必要でしたが、平成16年から簡素化されました。

 

居座って立退料(=引っ越し代)がもらえたりしたのは昔の話です。

 

新しい所有者が決まった後に長期間居座るのは無理。

 

相手が善意で数万円くれたりすることは今もあるようですが、基本的に引っ越し代も出ないと考えておきましょう。

 

任意売却について

ここで競売より少しましな任意売却について紹介しましょう。

 

これは代位弁済が行われ、債務者が期限の利益を失った後の話です。

 

普通に不動産を売ることとは違うので注意してください。

 

さて、裁判所の競売より、不動産会社の仲介で販売する方が2〜3割高く売れる傾向にあります。

 

するとそのお金を原資に、仲介不動産業者の手数料を引いても、抵当権者の回収額を増やせるし、債務者に引っ越し代くらいは出せるかもしれない、ということが考えられます。

 

借金が多い人の不動産には複数の抵当権がついていることが多く、売却のためにはそのすべてを解除する必要があります。

 

複数の抵当権が設定されている場合、順位も設定されていて、一番抵当が優先的に回収し、全額回収できたら、次に二番抵当、といった手順になります。

 

だから競売にかけても、二番以下の抵当権者には何の配当もないことが多いのです。

 

これが先ほどのように2〜3割高く売れる原資を使って、一番抵当者の配当を増やしつつ、かつ二番以下にも2〜30万円ずつくらいなら配当できるかもしれない。

 

つまり、すべての抵当権者にとって競売より回収金額が増える絵が描ける可能性がある。

 

それなら、抵当権者全員に抵当権をはずして売却することに協力してもらえそうです。

 

このように抵当権者全員にとって競売よりおいしい絵を描くことによって抵当権をはずしてもらい、不動産仲介で販売することが任意売却です。

 

同時に持ち主にも引っ越し代が確保できる可能性があり、不動産屋も儲かります。

 

関係者全員にとって競売より少し良いのが任意売却です。

 

自己破産と競売・任意売却の関係

まず、競売・任意売却の後で債務整理する場合。

 

競売・任意売却の後でも残った債務は返済の義務があります。

 

その額がボーダーラインにある時は、任意売却で少しでも残債が減ることで自己破産せずに任意整理で済むようなことも考えられます。

 

どのみち、自己破産せざるを得ないほどの債務が残るなら、競売でも任意売却でも同じと言えば同じです。

 

ただ、任意売却の場合は引っ越し代が出る可能性があります。

 

なお、不動産を失った後で自己破産申立てをすると、同時廃止で済みやすいメリットがあります。

 

先に自己破産を申し立てる場合、不動産の処分の権利は管財人に移ります。

 

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