【破産財団と自由財産|自己破産のメリット】

破産後に手元に残される財産もある

破産とは財産を売却換金して債権者に平等に分ける手続きです。

 

しかし、何もかも奪われるわけではなく、破産者の経済的更生のために自由財産も残されます。

 

この仕組みについて説明します。

 

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管財手続と同時廃止の分かれ目まで

自己破産の申し立てを弁護士に依頼すると、申立て代理人となった彼はさまざまな準備作業を始めます。

 

その中に、財産価値がありそうなもののリストアップがあります。

 

現金、預金の残高、過去2年くらいの間に買った20万円以上の商品、ブランド品など20万円以上の価値がある可能性のある持ち物などを全部リストアップすることが求められます。

 

多額の借金ができた理由なども聞かれます。

 

この段階で、管財手続になるか、同時廃止になるか、ある程度の目途は立ちます。

 

財産がほとんどなく、借金を抱えた理由に免責不許可事由もなさそうなら、おそらく同時廃止です。

 

しかし、決めるのはあくまで裁判官です。

 

準備が整って破産申立てをすると、担当になった裁判官がそれを決めます。

 

同時廃止になれば、微々たる財産はすべての自分のものです。

 

管財手続きになれば、裁判官が申立て代理人とは別の弁護士を管財人に任命し、財産は破産手続きにゆだねられます。

 

管財人と破産財団

管財人は財産を売り払ってお金に替え、債権者に分配する仕事です。

 

隠し財産がないか調べる責任も負っています。

 

破産申立てをした人の財産は何もかも取り上げるわけではなく、処分の対象だけを破産財団というものに入れていきます。

 

これは破産者の財産のうち、管財人が管理・処分の権限を占有するものです。

 

まず、法律で定められた「差し押さえ禁止財産」は、最初から破産財団に組み入れられません。

 

それから、破産者の経済的更生のために破産者に残しておく判断にした財産、すなわち「自由財産」もはずします。

 

また、いったんは破産財団に入れたものの、後で換金が難しいとわかって管財人の判断で外す場合もあります。

 

例えば、不動産があったが山の中の一軒家で資産価値に乏しく、買い手をみつけるのに時間とコストがかかると判明した場合。

 

あるいは価値がありそうな骨董品があったが、鑑定してみると二束三文だった場合。

 

こういう場合、対象の財産は破産財団から外され、所有権は元の持ち主に返されます。

 

こうして残った破産財団の財産を管財人は売却の手配をし、換金して債権者に債権額に応じて平等に配当します。

 

差し押さえ禁止財産

財産の中には差し押さえが法律で禁止されているものもあります。

 

例えば、日常の衣類や寝具、台所用品、本人と家族の3カ月分の生活に必要な食料と燃料など。

 

また、仕事に最低限必要な道具もそうです。

 

こういうものは最初から破産財団に組み入れられません。

 

さて、「仕事に最低限必要な道具」は現代では非常に多様です。

 

法律には、農業者は農具と種、漁業者は網…みたいなことが順番に書かれているのですが、現代の職業事情に対応できていません。

 

例えばCGデザイナーで高性能のパソコンと周辺機器が必須の場合はどうなるのでしょうか?

 

こういうものは自由財産として認められる可能性もありますが、ケースバイケースというしかありません。

 

自由財産

差し押さえ禁止財産以外にも破産者の経済的更生を助けるために自由財産が残されます。

 

現金の場合、99万円までは残すことができるとされています。

 

あるいは個々は20万円以下の換価価値しかない財産が合計99万円分以下などは認められる可能性があります。

 

自由財産をどこまで認めるかは各裁判所が異なる基準を持っており、個々の裁判官の裁量によっても変わります。

 

「仕事に最低限必要な道具」の範囲がかなり広くなってしまう仕事なのか?

 

まじめに努力したが返済不能に陥ったのか、免責不許可すれすれのけしからん原因だったのか?

 

そういう事情によっても裁判官の判断は変化します。

 

一定の範囲なら裁判官の裁量で多めの自由財産を認めることが可能ですし、「自由財産の拡張」を申し立てれば、さらなる拡張もありえます。

 

ただ、「自由財産の拡張」が認められる場合は減ってきているようです。

 

まさにケースバイケースなのですが、「その自由財産を認めないと経済的更生が難しいのか?」が重要な判断基準になっているとのことです。

 

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